建築の資格ってどんなものがある?仕事に役立つ主要資格を一覧で紹介
建築系の仕事に就く際は、建築系の資格が必要になるケースがほとんどです。とはいえ、建築系の資格はたくさんあるので「建築の資格ってどんなものがあるの?」「建築士資格以外の建築関係の資格って何?」と疑問に思う方もいるでしょう。
そこで今回は、建築の仕事で役立つ主要資格を一覧でご紹介します。それぞれの資格の取得方法や難易度、資格を生かしてどんな仕事に就けるのか、詳しく解説するのでぜひチェックしてみてください。
建築士資格の一覧
建築士資格は「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」の3区分に分かれています。資格取得の条件や難易度、取得後の就職先なども異なるので、この3つの違いを把握することは今後の職場選びにおいても非常に重要です。
それでは、3つの資格の特徴をチェックして「建築士」への理解を深めていきましょう。
一級建築士
一級建築士は、国土交通大臣の免許を受けたうえで、あらゆる建築物の設計や工事監理、そのほかの業務をおこなえる資格者です。一級建築士になるためには受験資格を取得して、なおかつ一級建築士試験に合格し、そして一定の実務経験を経て免許登録する必要があります。
以前は実務経験がなければ試験を受けられませんでしたが、2020年に建築士法の一部を改正する法律が施行されてからは、実務経験は免許登録までに積んでいればOKとなりました。
免許登録で必要になる実務経験の年数は、卒業学校や取得している資格によって異なります。大学を卒業した場合は2年以上、3年制の短大を卒業した場合は3年以上、2年制の短大や高等専門学校を卒業した場合は4年以上の実務経験が必要です。
建築士資格の中でも合格のハードルが特に高いのですが、幅広い建築物の設計や工事監理に携わりたい方や、一級建築士事務所を開業したい方にはおすすめです。
参考:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/architect.html
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001314965.pdf
二級建築士
二級建築士は都道府県知事の免許を受けて、比較的小規模な建築物の設計、工事監理などの業務に携われる資格¥です。3階以上の木造、木造以外の建物の設計に携われますが、一級建築士のように学校や病院、映画館や劇場などの建築物の設計業務はおこなえません。
ただ、住宅規模の建築物を中心に設計したい方であれば二級建築士の資格だけで事足りるケースがあります。「大規模な建築物に携わらなくてもいい」という方はまず二級建築士資格の取得を目指すのがおすすめです。
二級建築士の資格は、一級建築士の資格よりもハードルが低いのも特徴です。二級建築士になる流れとしては、受験資格を取得して、なおかつ二級建築士試験に合格し、一定の実務経験を積むのが一般的です。
しかし、大学や短期大学、高等専門学校で指定科目を修了していれば実務経験なしで免許登録できます。未経験者でも実務経験を7年積めば受験資格が得られるのもポイントです。
建築士としてすぐに働きたい方にはおすすめの資格でしょう。
木造建築士
木造建築士は国土交通大臣または都道府県知事から免許の交付を受けて、建築物の設計や工事監視などの業務をおこなえる資格者です。一級建築士や二級建築士とは違い、木造の建築物の設計にのみ携わります。
二級建築士になる流れや受験資格は二級建築士と同じです。大学や短期大学、高等専門学校で指定科目を修了していれば実務経験なしで免許登録可能で、未経験者でも実務経験を7年積めば受験資格が得られます。
木造住宅や木造の建築物の設計に携わりたい方にはぴったりの資格です。
【その他】建築の資格一覧
建築士のほかにも、建築の仕事で役立つ資格はたくさんあります。そこで、建築系の資格の中でも特に人気が高く、有名な資格をピックアップしてみました。
設備やインテリア、施工など、自分が興味のある資格の特徴や取得方法をチェックしてみてください。
建築設備士
建築設備士は空調や換気、給排水衛生、電気などの建築設備全般に関する知識や技能をもつ有資格者です。建築士に建築設備の設計・工事監理にまつわる助言ができる、数少ないポジションでもあります。
大学や短期大学、高等学校、専修学校で特定の課程を修了していること、一級建築士等の資格を取得していること、建築設備に関する一定の実務経験があること、このどれかをクリアして、なおかつ実務経験を積んでいることで受験資格を獲得できます。
建築設備士として4年以上の実務経験を積めば、1級建築士の受験資格も取得できます。一級建築士を目指していなくても、建築設備士の資格があれば建築設備のプロであることが証明できるので、就職活動や転職活動の際に有利でしょう。
参考:https://www.jaeic.or.jp/shiken/bmee/bmee-seidozenpan/index.html
施工管理技士
施工管理技士は、建設業法第27条に基づく技術検定「施工管理技術検定」の合格者です。建築系の営業所に欠かせない専任の技術者、または現場で指揮を執る監理技術者・主任技術者として活躍します。
具体的には建設現場で施工計画書の作成や安全管理などを担当します。施工管理士は建築施工管理技士(1・2級)、土木施工管理技士(1・2級)、電気工事施工管理技士(1・2級)、
管工事施工管理技士(1・2級)をはじめとする7種類の種目に分かれています。
特定の課程を修了していること、一定の実務経験を積んでいることで受験資格を取得できます。1級または2級の試験をそれぞれ受けて、合格を指します。
インテリアプランナー
インテリアプランナーは、建築関係の知識をもち、なおかつインテリア設計にまつわる知識と技能が認められたプロに与えられる称号です。家具や照明などの内装デザインをおこなうインテリアデザイナーとは違い、インテリアプランナーはプランニングや設計がメインの仕事です。
現場で施工を監理したり、指揮をとったりするケースもあります。資格を取得するためには学科試験と設計製図試験を受けなければなりません。
学科試験は年齢制限がなく誰でも受験できます。一方、設計製図試験は学科試験の合格者、アソシエイト・インテリアプランナー、建築士などが受験できます。大学、高等学校、専門学校で特定の課程を修了していること、建築士の資格を取得していること、インテリアに関する実務経験は2年以上あること、このどれかを満たしていれば、登録可能です。
参考:https://www.jaeic.or.jp/shiken/ip/ip-seidozenpan/index.html
コンクリート技士
コンクリート技士は、コンクリートの製造や施工、管理などの知識や技術をもつ技士のことです。現場でコンクリートを扱う上での必須資格とされており、工事の信頼性や効率化には欠かせません。
コンクリート技士の資格試験は「公益社団法人 日本コンクリート工学会」が実施しています。大学や高等専門学校で特定の科目を修了し2年以上の実務経験を積んでいること、コンクリート技術関係の実務経験が3年以上あること、高校でコンクリート技術に関する科目を修了して2年以上の実務経験を積んでいること、このうちのどれかをクリアすれば受験資格を取得できます。
ニーズの高い分野なので、将来性を重視する方にはおすすめです。
参考:http://www.jci-net.or.jp/j/exam/gishi/index.html
基礎施工士
基礎施工士は、難易度が高い「場所打ちコンクリート杭」の施工に関して、十分な知識と技術をもち、経験を積んだ技術者です。基礎施工士の資格取得者は、公共工事の仕様書で「施工管理技術者」として認められています。
資格試験は、(一社)日本基礎建設協会が実施しています。大学、短期大学、高等専門学校、高校で指定学科を卒業して、一定の実務経験を積めば受験資格を取得できます。
指定学科を卒業していなくても、実務経験があれば受験可能です。また、最終学歴が中学校だった場合も、8年以上の実務経験があれば試験を受けられます。
地盤状況をチェックして、現場で適切な判断を下せる基礎施工士。工事現場で活躍したい方にはおすすめです。
宅地建物取引士(宅建)
宅地建物取引士は、宅地建物取引業法に基づいて、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けた専門家です。土地や建物の売買、賃貸物件のあっせんなど不動産取引法務の専門家として活躍します。
事務所には、専任の宅地建物取引士を置かなければならないと定められていることから、宅地建物取引士が貴重な存在であることがうかがえます。宅地建物取引士になるためには、まず一般財団法人不動産適正取引推進機構が実施する「宅地建物取引士資格試験」に合格しなければなりません。
受験資格は特に設けられていません。年齢、性別、学歴が問われることもなく、誰でも受験できます。
試験合格後に宅地建物取引の実務経験を2年以上積めば、登録できます。不動産売買の際の「契約締結前に行う重要事項の説明」「重要事項説明書面への記名押印」など、宅地建物取引士しかできない業務があるので、不動産業界に関心がある方にはぴったりでしょう。
技術士
技術士は、国から科学技術に関する専門的な知識と能力が認められた技術者です。国家資格保有者として、コンサルティング業務や企業内の技術業務のリーダー業務、公的機関や行政への協力、中小企業への協力支援や海外支援などの需要な業務に携わります。
技術士になるためには技術士試験に合格する必要があります。機械部門や船舶・海洋部門、
航空・宇宙部門や電気電子部門、化学部門、金属部門、建設部門など、文部科学省令で定める技術部門ごとに技術士第一次試験、技術士第二次試験を受けます。
宅地建物取引士と同じく受験の際に年齢、性別、学歴が問われることはありません。試験に合格して、指定された教育課程を修了して、指導技術士のもとで一定の実務経験を積めば晴れて技術士として登録できます。
まとめ
一級建築士、二級建築士、木造建築士などの建築士資格のほかにも、建築設備士や施工管理技士、インテリアプランナーなど、建築に関連した資格があります。資格があれば活躍できる場も広がりますし、就職や転職も有利になります。
ただ、建築関係の資格のほとんどは国家資格なので「独学で勉強するのは不安」という方も多いでしょう。そこでおすすめしたいのが、建築系の学科がある専門学校です。
資格取得の支援や就職へのサポートが充実している学校も多いので、将来性を考える方はぜひ建築系の専門学校への入学を検討してみてください。